資源高や穀物価格高騰には「プラス面」もある。国際競争力なき日本の資源、農林水産物が、このチャンスを生かせば――。 自治体破産の象徴となった北海道夕張市。小中学校が次々に統廃合され、成人式を開く予算にも事欠いた街が、今、にわかに活気づいている。街が廃れる原因となった閉山炭鉱が復活する兆しをみせ始めたからだ。市が採掘権を保有する四十八鉱区で採掘に乗りだそうという企業が出てきている。 夕張だけではない。道内でも数少ない現役炭鉱の美唄炭鉱を抱える美唄市、空知炭鉱を持つ歌志内市なども、昨年後半から石炭生産量が毎月うなぎ登りに増え、活気を取り戻しつつある。新鉱区の開発計画も机上にのぼっている。 豪州、中国、インドネシアなどからの輸入炭に駆逐され、八鉱山のみが生き残って細々と生産を続けるだけになった国内炭が急に注目されるようになったのは、価格競争力が急回復したからだ。秘密は海外炭価格の急激な値上がりにある。二〇〇三年ころには一トンあたり十ドル台だった発電や産業用燃料向けの一般炭価格が、今年度は百二十ドルに達した。今年度の値上げ幅は前年度比二・六倍という異常なものだった。 現在、北海道産の一般炭はトンあたり百ドル前後。割高な国内の輸送コストを加えても、十分、輸入炭と競争できる。国内には北海道や九州、常磐などに石炭資源はかなり残っており、現在の相場が続けば、新たな炭鉱開発も決して夢物語ではない。国内炭の生産量は昨年で百四十六万トン。一億八千六百万トンにも及ぶ輸入炭の一%にも満たないが、国内炭は最盛期の一九五〇年代から六〇年代初頭にかけては年間六千万トン以上だった実績もある。国内炭が復活し、輸入炭の一部を食う可能性は小さくない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。