聖書に手を置き、神妙な表情で宣誓。この瞬間、正式に新大統領が誕生した(C)AFP=時事

 

 ドナルド・トランプ大統領が1月20日正午、第45代米国大統領に正式に就任した。2016年大統領選挙での当選後は、選挙キャンペーン中に繰り返していた暴言がいくぶん影を潜めたため、正式就任後は米国の国家元首として「統治」を重視すべく大統領らしく振る舞い、あるいは政策を現実路線へと変更するのではないかとの期待が一部ではされていた。ところが、ワシントンの連邦議事堂前での大統領就任宣誓直後に行った就任演説では「米国第一主義(America First)」を前面に打ち出し、国際社会における米国の役割や指導力などにはほとんど触れず、就任前にあった期待は見事に裏切られる結果となった。

 

トランプ氏とレーガン氏の共通点

 選挙キャンペーンを通じて「米国を再び偉大な国に(Make America great again)」と訴え続けてきたトランプ大統領を、ある1人の元共和党大統領と比較する見方がある。就任直前の期待もあまり高くなかったという共通点もあり、2人は頻繁に比較が行われている。その元共和党大統領とは、「強い米国」を標榜したロナルド・レーガン元大統領である。レーガン氏は政界入り前にハリウッドで俳優をしており、トランプ氏もテレビパーソナリティの経験が30年にも及ぶ。映画、テレビ産業にそれぞれ関わっていた点でも2人は共通点がある。

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