ヤフー買収をいったんは断念したマイクロソフト。しかしこれで終わったわけではない。IT、ネット、メディア業界の覇権をかけた争いは続く。 文句のつけようのない好決算だった。四月十七日に発表された売上高は前年同期比四二%増の五十二億ドル、純利益は三〇%増の十三億ドル。一般的に企業の一―三月期の決算は、年末商戦に踊った消費者の買い物疲れで伸び悩むとされる。にもかかわらず、インターネット検索最大手、米グーグルは売上、利益とも過去最高を更新した。「ビジネスモデルは非常にうまく機能している」。CEO(最高経営責任者)のエリック・シュミットは、決算を発表した後の電話会見でそう言い切った。「グーグルのネット広告がクリックされる頻度が落ちている」。調査会社のデータをきっかけに、グーグルの株価は決算発表の直前まで下落を続けていたが、発表翌日の終値は前日比二〇%近くも跳ね上がった。一日の上昇率としては過去最高となり、IT(情報技術)業界でも屈指のビジネスモデルは景気減速下でも健在と強く印象づけた。 だが、この三カ月間というもの、王者・グーグルを苛立たせていたことがあった。マイクロソフトによるヤフーへの買収提案だ。結局、五月三日になって両社の交渉は決裂、当初の提示額で四百四十六億ドルとIT企業同士としては最大規模のM&A(合併・買収)は破談となったが、その成立を最も警戒していたのがグーグルだった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。