1月20日に正式発足したトランプ大統領の新政権。閣僚たちもほとんど承認され、公約通りの大統領令も次々と署名して各方面に波紋を巻き起こしている。そうしたトランプ政策を主導する閣僚や重要ポストを占める面々らについて、これから毎回2名ずつ、各人の経歴や注目点などにスポットを当てる短期集中連載をお届けする。

 

1.ジェイムズ・マティス国防長官(66)

 退役海兵隊大将。中東からパキスタンを総括する米中央軍(CENTCOM)の元司令官であり、在任中(2010年8月~2013年3月)は、国家安全保障上の脅威としてのイランに対する懸念を表明し続けていた。

 第1次湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争などで戦闘部隊の指揮経験が豊富である。戦場での果敢さから「狂犬(mad dog)」というニックネームで呼ばれていた。退役後は、オバマ政権の外交政策を一貫して批判し続けており、ロシア、中国、イランの積極的な外交姿勢の背景には、オバマ政権の慎重な外交姿勢が影響しているとの批判を展開していた。

 上院軍事委員会の指名承認公聴会では、第2次世界大戦後の国際秩序に対する脅威として、テロ組織、中国の南シナ海進出とともにロシアを挙げており、プーチン大統領については、北大西洋条約機構(NATO)の破壊を画策しているとの厳しい対ロシア、対プーチン批判を展開した。

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