ジンバブエの独裁者ムガベ大統領の右腕、フランシス・ネマ環境・観光相に対する米国入国ビザが、中国の口添えで発給された。EU(欧州連合)は二〇〇〇年からネマを入国拒否対象者に指定しており、アメリカも入国拒否リストに載せてきた。 その米国入国が問題になったのは、五月半ば、ニューヨーク国連本部での「持続可能な開発委員会(CSD)」会議に絡んでのこと。ネマは昨年五月にCSD議長に任命されており、アフリカ諸国は、ネマが会議に出席できるようビザの発給を求めたが、アメリカは拒否。英仏も、アメリカのビザ発給拒否を支持してきた。 この問題に中国が本格介入したのは四月下旬。ある国連関係者が語る。「中国は、ロシアと共に中立的な立場を通そうとしていたが、四月二十二日、入国ビザを出すべきだという立場に急変した。ジンバブエに向かっていた中国武器輸出船が欧米諸国の非難を浴びて中国に戻るため舵を切った日だ。AK小銃や手榴弾など七十トンもの武器を載せた輸出船が突然帰国の途についた理由は、ムワナワサ・ザンビア大統領らアフリカの指導者が、紛争防止のため、アフリカでの中国武器輸出船の活動禁止を表明したからだ。五輪を控えて国際世論に敏感な中国は武器輸出船を帰国させた」。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。