オーストラリア首相との難民受け入れ問題での電話会談で一方的に打ち切った際も、目の前にはフリン氏(中央)とバノン氏(右)の2人だけがいた(C)AFP=時事

 

 ドナルド・トランプ大統領は就任以降、大統領令や大統領覚書(メモランダム)に次々に署名することで、選挙キャンペーン中に明らかにしていた保守色の強い政策を積極的に推進しようとしている。米国を1つに統合する必要性に言及してきたが、自らを支持した保守系の白人有権者に焦点を当てることで、実際には米国の分裂を促すかたちで政権運営を行う姿勢となっている。

 そうした中、1月28日にはホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)と国土安全保障会議(HSC)の再編に関する大統領覚書に署名した(大統領覚書参照)。

 

設立70周年を迎えるNSCの再編

 NSCはハリー・トルーマン大統領在任中に成立した「1947年国家安全保障法」に基づき創設された、米国政府の外交、安全保障政策を立案、決定する最高意思決定機関である。関係省庁間の政策の調整も図り、大統領に対して助言を行う極めて重要な役割を担っている。「1947年国家安全保障法」に基づいて米中央情報局(CIA)も新設されており、米ソ冷戦時代の幕開けとともに創設されたNSCは、今年でちょうど70周年を迎える。

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