ジェット燃料の価格が未曾有の高水準を更新するなかで、世界の航空会社が期待を寄せていたボーイング787。従来機に比べ燃費が二割以上良く、さらには航続距離も長いことから「燃料費削減の切札」として各社とも受領の時期を心待ちにしていた。しかし、部品供給の遅れなどが重なり、納入は三度も延期に。最初の納入先に予定された全日空はこの五月に一号機を受け取るはずが、一年半以上も待たされることになった。北京五輪に向けての就航を検討するなど、今年度スタートした中期経営計画の柱の一つに据えていたため、ボーイングへの失望感は強い。 事情は日本航空も同じ。全日空より国際線が多く、「燃油費負担増が全日空より五百億円程度多い」とされる。このため、業績回復のカギを握る燃油費負担の軽減のためにも「エアバス製A380の購入も常に考えている」(日航幹部)という。 一方、一足先にボーイングに見切りをつけたのが米国防総省。総額四百億ドルに達する米空軍の次期空中給油機(KCX)計画で、ボーイングのKC767ではなく、ノースロップ・グラマン社のKC-45を採用したのだ。その背景にあったのが、日本の航空自衛隊へのKC767の納期遅れだった。

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