2015年、イラン核合意反対集会で演説をぶっていたトランプ氏だったが…… (c)時事

 トランプ政権が発足してまだ20日しか経たないが、矢継ぎ早に大統領令を発し、様々な政治的社会的混乱を招く中、イランがミサイル実験を1月29日に行った。トランプ政権の安全保障担当大統領補佐官であるフリン氏がイランに対して「警告する(on notice)」といった攻撃的な姿勢を見せたことで、新政権はさらなる火種を抱えることとなった。

「核合意の破棄」を主張していたが

 トランプ大統領は選挙期間中から、イラン核合意は「ひどい取引」であり、イランに1500億ドルをプレゼントしたものであり、大統領になったら最初の仕事として核合意を破棄する、と主張していた。

 また、大きな混乱を招いたムスリムが多数を占める7カ国からの入国一時禁止の大統領令の中に、イランも含まれていた。1979年のイラン・イスラム革命以来、アメリカに亡命してきたイラン人やその家族は数多く、7カ国の中でも最も多くビザが発給されているイランは、この措置に強い批判を行ったが、トランプ政権はお構いなしにこの措置を強行した。このようにトランプ政権のイランへの対決姿勢が前面に出される中でのミサイル実験であったため、オバマ政権のレガシーである核合意は風前の灯火であるかのように思われた。

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