意外にも常識的な「トランプ外交」

執筆者:村上政俊2017年2月10日
ホワイトハウス・オーバルルームでのメイ英首相とトランプ米大統領。握手の下にはチャーチルの像が (c)AFP=時事

 トランプ外交が本格的に始動したが、その背景にある考え方は極めて常識的であり、同盟国日本としては大いに歓迎すべき滑り出しだ。トランプ外交の最大の特徴は同盟国重視の姿勢であり、これを端的に示すのが外国首脳の訪問受け入れ順序だ。

まずは米英同盟の強化から

 1月20日のトランプ政権発足後にまずワシントンを訪れたのは、アメリカにとって最も緊密な同盟国であるべきイギリスの首相メイだった。オバマによって大統領執務室から不当にも撤去されていたチャーチルの胸像がトランプによって元の地位を無事回復。トランプ、メイ、チャーチルの「3人」で撮影された集合写真は、米英同盟に新たな息吹が吹き込まれたことを象徴していた。

 そもそもチャーチルはフランクリン・ルーズベルトにぴったりと寄り添って連合国を第2次世界大戦の戦勝に導いたアメリカの大恩人だ。そんなチャーチルを追い出すとはオバマもとんだ忘恩の徒である。なおルーズベルトもチャーチルの帝国主義者としての顔を内心苦々しく思い、むしろ共産主義国家ソ連の独裁者スターリンとの方が、馬が合うと思っていたようだ。ルーズベルトにしてもオバマにしても、民主党の大統領はチャーチルのことがどうもお好きではないらしい。逆に共和党トランプとチャーチルと同じ保守党メイの仲を取り持ったのがチャーチルだったということになる。

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