選挙戦では共和党として女性初の選対本部長を務め、大統領顧問に就任したケリーアン・コンウェイ氏にも指示を出すバノン氏(C)AFP=時事

 

 トランプ大統領の就任式と相前後して、政治と思想の交叉という観点から興味深い出来事が2つあった。ともにトランプ政権の「黒幕」である首席戦略官スティーブ・バノンの世界観につながる出来事である。

 まず、「トランプ主義(Trumpism)」を思想的に支援すると宣言する新しい論壇誌が2月に発足することが明らかになった。『アメリカン・アフェアーズ』だ。まだ30歳のハーバード大出の若手保守派論客ジュリウス・クレインが創刊する。トランプ支持運動に「知的基盤」を与えるためだという。【Meet the Harvard whiz kid who wants to explain Trumpism, Politico, Jan. 3

 クレインは「『保守主義』の理論的基礎について再考を促し、アメリカ政治の広範な再編成(realignment)を促したい」とニュースサイト『ポリティコ』に語っている。ただ、トランプのように「予測不可能性」を宣言して統治をすでに始めた大統領に「知的・思想的に一貫性を与えることはできるのか」と冷ややかに見る声もある(保守論壇誌『ナショナル・レビュー』編集者ジョナ・ゴールドバーグ)。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。