「白人至上主義者」でも「人種差別主義者」でもなく「ナショナリスト」だと主張するが……(C)AFP=時事

 

 トランプ政権の「黒幕」スティーブ・バノンは「オルタナ右翼(Alt-Right, alternative right)」だと言われている。本人は、昨夏トランプ選対トップに就任するまで経営していたオンライン・ニュースサイト『ブライトバート・ニュース』を「オルタナ保守のための論壇(platform)」と評したことがある。オルタナ保守は「人種差別主義者(racist)」「白人至上主義者(white supremacist)」だと言われる。そこまで厳しい表現をとらずとも、「白人民族主義者(white nationalist)」だと批判される。

「オルタナ右翼」とは何なのか。アメリカ保守主義は、簡単には説明しきれないさまざまな思想潮流の複合である。その主流からはずれた(あるいは追われた)のが「オルタナ右翼」であり、これについても腑分け作業が必要だ。バノン自身は広い意味での「オルタナ右翼」かもしれないが、狭い意味での「白人至上主義者」ないしは「人種差別主義者」なのかどうかは慎重に見極めた方がよい。

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