昨年10月、自衛隊観閲式に臨んだ安倍総理 (c)時事

 平成25年(2013年)12月の閣議で決定された国家安全保障戦略は、日本にとって、日露戦争終結以降、初めての国家戦略というべきものであり、これを策定した第2次安倍内閣の功績は極めて大きいものと評価する。

 それまでにあった「国防の基本方針」(1957年決定)は、「我が国の独立と平和を守るため(1)国連活動を支持し国際協調をはかり世界平和の実現を期する(2)民生を安定し愛国心を高揚し国家安全保障のための基盤を確立する(3)自衛のため必要な限度において効率的な防衛力を漸進的に整備する(4)侵略に対しては国連が有効にこれを阻止する機能を果たし得るまでは米国との安全保障体制を基調として対処する」といったもので、決定当時の状況から見れば、先ずは妥当なものといえたが、その後56年間、その進捗状況は点検されず、陳腐化してそのままに放置されていたものであった。特に、変化する世界の政治・経済・外交の状況に合わせた防衛(軍事)については具体的に触れておらず、とても国家戦略とは言えないものであった。

 ともあれこの56年間不変であった「国防の基本方針」に代わって、この「国家安全保障戦略」が出現したことを喜びたい。

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