2016年5月の「伊勢志摩サミット」では、国際メディアセンター内のレストラン入り口にこんな看板が(C)時事

 

 厚生労働省が打ち出している「飲食店での全面禁煙」案が、自民党の反対によって風前の灯になっている。厚労省は、他人が吸っているタバコの煙を吸い込む「受動喫煙」の防止対策を盛り込んだ「健康増進法改正案」に、公共の施設や公共機関での禁煙に加え、飲食店での全面禁煙を掲げたが、外食業界などの意向を受けた一部の自民党議員が強硬に反対しているのだ。

 実は、国際オリンピック委員会(IOC)や世界保健機関(WHO)が、「タバコのない五輪」を推進しており、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、対策を急ぐ必要に迫られている。飲食店での全面禁煙は先進国ではすでに導入されており、世界的な潮流になっている。

世界では「分煙」もアウト

 2012年にオリンピックを開催した英国・ロンドンは建物内を全面禁煙とし、罰則を設けた。昨年オリンピックを開催したブラジルのリオデジャネイロでも、飲食店の敷地内では一切タバコが吸えなかった。また、2018年に平昌での冬季五輪を控える韓国でも、すでに建物内は全面禁煙になっている。

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