「本命不在」で迷走する次期「日銀総裁」人事

執筆者:鷲尾香一2017年4月10日
「続投」の可能性がないわけでもない黒田総裁だが……(C)時事

 

 黒田東彦・日本銀行総裁の2018年4月8日の任期終了まで1年を切った。日銀総裁人事は国会承認事項のため、次期総裁を誰にするのかという根回し期間を考えれば、そろそろ候補者の名前が挙がってきてもよさそうなものだが、本命不在の状態だ。

 過去の日銀総裁人事は、日銀プロパーと旧大蔵省(現財務省)のOBが総裁と副総裁を交互に努める“たすき掛け人事”が行われていたが、1997年の日銀法改正とともに終焉を迎え、黒田氏までの日銀総裁は、速水優氏、福井俊彦氏、白川方明氏と日銀OBが3代続いた。

 白川総裁誕生の時には、旧大蔵省OBの武藤敏郎・元事務次官が総裁候補として最有力だったが、当時の民主党(現民進党)の反対により、国会承認を得ることができず、日銀OBで副総裁の職にあった白川氏が総裁に就任している。黒田総裁は、1998年まで総裁を務めた松下康雄氏以来、実に15年ぶりの旧大蔵省OBの総裁誕生だった。

国債処理という懸案

 さて、次期日銀総裁については、巷間様々な憶測が出ている。黒田総裁の続投、日銀プロパー総裁の復活、そして、当然のことながら旧大蔵省OBも“虎視眈々”と狙っている、などだ。それでも、有力候補者の名前が挙がらず、本命不在の状況にあるのは、次期日銀総裁に課せられるだろう困難な命題が理由と思われる。

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