晩説を汚さねばよいが……(川村次期会長=左=と小早川次期社長)(C)時事

 

 6月下旬に発足する東京電力ホールディングス(HD)の「新体制」が決まった。最大の目玉は數土文夫(76)に代わって会長に就任する日立製作所名誉会長の川村隆(77)の起用。8年前に日立が当時製造業として過去最大の7873億円の赤字を計上した際、グループ会社から呼び戻されて会長兼社長に就任し、わずか1年で再建のメドをつけた。虚飾に流されない万事控え目な性格で、3年前の経団連会長人事では最有力候補者だったにもかかわらず、財界首脳からの就任要請を膠(にべ)もなく断ったことでも知られる。そんな「伝説の名経営者」が何故“火中の栗”を拾うに至ったのか。

「川村会長」への守旧派の反対

「東電改革を議論する経済産業省の有識者会議(東京電力改革・1F問題委員会、略称=1F問題委)の委員として東電の経営課題を学んだ。福島への責任を果たすために事業を進展させることが不可欠であり、難題だ。(東電の)取締役会長は執行役が全力投球するのを監督・助言する立場であり、そのためには企業を再生した経験が重要になる。77歳でもそれが果たせると思い、引き受けた」

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