「龍虎の戦い」だったが……(C)AFP=時事

 

 世界から注目を集めた米中首脳会談。その予想のつかない言動によって世界を騒がすトランプ米大統領と、「トラ退治」を掲げて反腐敗という名の権力闘争を戦ってきた習近平・中国国家主席が、世界2大強国のトップとして初めて対峙するのだから、「龍虎の戦い」への期待と不安がおのずと高まるのも無理はなかった。そして結果から見れば、第1ラウンドは、先手のトランプがポイントリードしたが決着はつかず、勝負は第2ラウンド以降に持ち越された、ということだったのではないだろうか。

「ニュースがないこと」が最大の成果

 過去の米中首脳会談では、何かしらメディアのヘッドラインを飾るような成果がアピールされることが多かった。ところが今回は共同声明もなし、共同会見もなし。このことからも、今回の会談は「顔合わせ」の意味が色濃かったことを示している。

 それでも、会談終了後にある種の安堵感が世界に広がったのは、胸ぐらをつかみ合うようなケンカにならなかったことが成果なのだ、という冷めた感覚があったからだろう。別の言い方をすれば、最大の成果は「ニュースがないこと」だったのかもしれない。何しろこの2人が決裂してしまえば、世界はこれからしばらくの間、穏やかではなくなってしまうからだ。

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