僅差の勝利だったが……(C)AFP=時事

 

 4月16日のトルコ国民投票の開票の結果が発表され、賛成票が51.4%(暫定値)で、憲法改正が信任された。

地域間、都市ー地方間で国論二分

 55%以上程度の大差をつけての信任を目指していたエルドアン大統領にとって、薄氷の勝利と言える。イスタンブルやアンカラなど大都市圏で反対票が上回り、特にイズミルでは大きく反対票が伸びた。

 トルコのデイリー・サバーハ紙(与党AKP系)の速報で地図上に鮮明に色分けされているが、通常の議会選挙や大統領選挙と同様に、エーゲ海岸の親西欧・世俗主義が強い地域では反対票が上回り、南東部のクルド人が多い地域でも、反対票が多かった。

 議会選挙や大統領選挙で常に第1党(あるいは大統領候補者の中で群を抜いた1位)の座を占めることは確実の与党AKP(公正発展党)だが、過半数を常に占めるかというとそうではない。今回は、恒久的にエルドアン大統領に大権を与えることになりかねない憲法改正だけに、多数派形成が功を奏するかが最後まで危ぶまれていた。当初は右派・トルコ民族主義のMHP(民族主義者行動党)の取り込みを図ったが、必ずしもうまくいかず、途中から、むしろクルド人への歩み寄り姿勢を示すようになった

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