「共謀罪」について危うい答弁を繰り返す金田勝年法相 (C)時事

 

 朝鮮半島や中東情勢が緊迫の度合いを高める中、日本の国会では、国家的な重大事そっちのけでレベルの低い与野党攻防が山場を迎えつつある。テーマはいわゆる「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案(テロ等準備罪法案)である。この法案は天皇陛下の退位に関する特例法案や民法、刑法改正案とともに今国会の重要法案に位置づけられている。この中でも特にテロ等準備罪法案は民進、共産、自由、社民の野党4党が廃案を求めて政府・与党への対決姿勢を強めていることから、6月18日の会期末に向けて、後半国会最大の焦点になっている。

 テロ等準備罪法案は、テロなどの組織的犯罪について、犯罪を実行しなくても、その前段階で犯行を計画し準備をしただけで罪に問えるようにするものである。しかし、野党は、憲法で保障されている思想、信条などの自由を侵害する恐れがあるなどと批判。法案は、安倍政権を失速させたい野党の格好の攻撃対象となっている。
 たしかに、この法案をめぐっては政府側の稚拙な答弁や国会運営の不手際に加え、条文の中身そのものにも不透明な部分がある。このまま簡単に成立させるわけにはいかないという野党の態度もある程度理由がある。ただ、野党側の主張の中には、そうした不明部分を追及するという域をはるかに超えた強引な論法も目立つ。

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