自信を深めるGCC諸国の未来図とは

執筆者:クリスティアン・コッホ2008年6月号

急成長の勢いを駆って湾岸諸国は将来への戦略を練り始めた。オイルマネーを湯水のように使う王族のイメージを払拭するかのように。[ドバイ発]アラビア(ペルシア)湾岸が注目を浴びる時は悪いニュースと相場が決まっていたが、このところ、明るいニュースが相次いでいる。湾岸協力会議(GCC)を構成する六カ国――バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、そしてアラブ首長国連邦(UAE)――が政治経済両面で爆発的に成長しつつあるのだ。 これは、憎悪と紛争の連鎖で知られるこの不安定な地域において特筆すべき重要な展開だ。イラクが国家崩壊の崖っぷちを歩き、イランが核開発問題で国際社会への挑戦を続けるなか、GCCの躍進はもっと外部の注目を集めてしかるべきだろう。というのも、GCC諸国は国際社会の認識をはるかに上回るペースで政治的に成熟し、地域統合を進めているからだ。 GCC諸国の飛躍は、原油価格の高騰と切っても切り離すことはできない。GCC六カ国のうち三カ国――クウェート、サウジアラビア、UAE――は、世界有数の石油産出国であり、原油価格が今年初めに一バレル当たり百ドルという途方もない価格を突破しさらに上昇するなか、急激な富の増大に沸いている。

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