民主党を仕切る全国委員長ディーンの苦悩

執筆者:アレクシス・シメンディンガー2008年6月号

せっかくの優位も、候補者が決まらず、マケインの追い上げを許す。それどころか、党内対立の傷が拡大。まとめ役の心中は穏やかではない。[ワシントン発]ハワード・ディーン米民主党全国委員会(DNC)委員長(五九)は、頂上から一気に転落する悲哀を身をもって知る。四年前の大統領選予備選で、一夜にして最有力候補の地位を失った経験があるからだ。それゆえ民主党の候補選びが長引いていることを憂慮し、だからこそ、あたかも本選挙がすでに始まっているかのように共和党候補に対する攻撃の先陣を切っているのだ。 DNCは議員と党職員から成る民主党の執行機関で、その委員長は四年に一度、党員選挙で選ばれる。党の規則作り、資金集め、全米の選挙で民主党候補を勝たせるための戦略作りなど、党務全般に責任を負う。最大の任務は大統領選で共和党に勝つこと。民主党候補が首尾よく当選すれば、DNCとその委員長は大統領直属の政治組織となり大きな影響力を持つことになるが、今回のように候補選びが難航した時には、非難を浴びる損な役回りでもある。 米経済が失速し、イラク戦争への世論の支持がないなか、民主党候補が共和党候補のジョン・マケイン上院議員に勝てる政治的環境は理論上これ以上ないほど整っている。だが、バラク・オバマとヒラリー・クリントン両上院議員の指名争いに決着がつかない状態が長引けば、勝利の希望は遠のく恐れがあるとディーンは心配する。世論調査では、マケイン相手に戦うとした場合、オバマとヒラリーは共に優位を保ってきたが、ギャラップ社の最新の調査ではマケインに追いつかれてしまった。

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