昨年11月、COP22のためにモロッコを訪れたオランド大統領(左)とモハメド6世 (c)AFP=時事

 

 フランスのオランド大統領が5月14日、エマニュエル・マクロン新大統領にバトンタッチしてエリゼ宮を去る。任期の最後となる外交饗宴は5月2日、モロッコのモハメド6世国王を迎えた昼食会だった。

 国王は昼前、エリゼ宮の玄関前でオランド大統領の出迎えを受け、カメラマンの前で固い握手を交わした。約20分の会談では、テロとの戦いや温暖化問題での提携、文化面での協力などで意見を交換した。次いで歴代のフランス王や王妃の絵が飾られた「ポルトレ(ポートレート)の間」で、昼食会がもたれた。

笑い転げた出席者

 テーブルを囲んだ十数人の顔ぶれから、堅苦しい政治や外交の話が中心となる食事会ではないことが分かる。

 両国の数人の閣僚のほかは、パリにあるアラブ世界研究所のジャック・ラング所長(元仏文化相)とモロッコ美術館財団のメフリ・コツビ理事長が出席。モロッコ出身の女性作家レイラ・スリマニさん(35)はいま時の人である。モロッコ・ラバトでフランス語教育を受け、17歳で渡仏。ジャーナリストをしながら小説を書き始め、2作目となる『優しい歌』で昨年11月、日本の芥川賞に相当する仏ゴンクール賞を受賞した。やはりモロッコ出身のゴンクール賞作家のタハール・ベン・ジェルーン氏(72)も招かれた。柔道家のテディー・リネール氏(28)はロンドンとリオデジャネイロの夏季五輪で金メダルを獲得した。フランスで活躍するモロッコ出身のコメディアンやイスラム学者も招かれ、フランスにおけるモロッコ人脈の幅広さをのぞかせた。

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