鑑定「4億円」以上「ペルー古代土器」数奇な変遷

執筆者:フォーサイト編集部2017年5月16日
貴重な土器の数々(日下部家所蔵)

 

 標高2400メートル以上、アンデス山麓に連なるウルバンバ谷沿いの尾根に残るインカ帝国の遺跡「マチュピチュ」。あるいは、乾燥した高原の地表面に描かれた動植物などとみられる巨大な幾何学図形「ナスカの地上絵」――。南米ペルーには、古代アンデス文明の流れにある「世界遺産」の遺跡が多い。それだけに、いまにいたるも文化的な遺産である貴重な土器などが発掘され、盗掘も後を絶たず、闇から闇に売買される「秘宝」が多く出現することでも知られている。

 そうした「ペルー古代土器」60点あまりを所持している人物がいる。代々「一族の秘宝」として相続してきたものだが、相続者のいない自身の年齢から「終活」を考えねばならない時期に差し掛かり、処分にあぐねているという。

華麗なる一族

「私の妻の実家が明治時代にペルーに移住した一家でして、義母で3代目。私が所持しているペルー古代土器はすべて、その義母から引き継いだものです」

 日下部諒、72歳。若い頃は空手某流の師範として指導者の道を進み、その縁で、旧岡山藩主池田家所以の刀剣類などを収蔵展示している「林原美術館」(岡山市)の刀剣研究室長を長く務めてきた。

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