一帯一路構想に向け、すでに中国・パキスタン合意のもと鉄道建設計画も着々と進んでいる(C)AFP=時事

 

 地政学の祖と称され、英国下院議員であり、地理学者(オックスフォード大学地理学院初代院長)でもあったH・マッキンダー卿(1861-1947)は、「東ヨーロッパを支配するものがハートランドを支配し、ハートランドを支配するものがワールド・アイランドを支配し、世界を支配する」と、大陸心臓部(ハートランド)の大国、ロシアとプロシア(ドイツ)のユーラシア大陸外縁および外洋への進出に警鐘を鳴らした。

「地政学」は、「戦争の世紀」を演出し、大戦後、世界を東西に二分した。ふたつの勢力は、ソ連が主導する大陸国家群と米国が中心の海洋国家群の対峙となって「冷戦」を導き、その終焉を西側勢力が制した。冷戦後の世界は、米国が主導権を握った一極構造と言われたが、今、国際社会に影響を与えるアクター(大国)に変化が生じている。

「中国の池」から太平洋へ

 中国は、大国としての力を蓄えつつあったが、旧ソ連との国境における摩擦が妨げとなってハートランドへの進出が抑制されていた。しかし、他方で、外洋進出を図るジオポリティーク(地政戦略)は活発であった。

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