外交的孤立が深まる中、唯一手を差し伸べているのは日本なのだが(写真は4月の日露首脳会談)(c)EPA=時事

 

 トランプ米政権の「ロシアゲート」疑惑は、遂に強力な権限を持つ特別検察官が設置され、新たな段階に入った。今後の捜査次第で、トランプ大統領は窮地に立たされる恐れがあるが、ロシアは一貫して疑惑関与を否定し、苦々しく見ている。米露関係も引き続き低調に推移しており、トランプ大統領当選後に高まった関係改善機運も消え去った。一連の展開は、米政界や社会に占める反露感情の高さを浮き彫りにしており、米露関係改善の限界も見せつけた。トランプ政権誕生に歓喜したロシアの思惑は裏目に出た。

「反露スローガンを煽るだけ」

 プーチン大統領は5月17日、ソチでイタリアのジェンティローニ首相と会談した後の共同会見で、トランプ大統領がラブロフ外相、キスリャク駐米大使に会った際、同盟国から得たイスラム教過激派組織「イスラム国(IS)」に関する機密情報を漏らしたとの疑惑について、「今日、ラブロフ外相と話したが、外相が私にその機密情報を話してくれなかったことを叱責せねばならない。彼は情報機関とも情報を共有していない。これはまずいことだ」とジョークを飛ばし、機密の提供がなかったことを暗に指摘。「もし米側が望むなら、会談の速記録を提供する用意がある」と語った。

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