メッセージは「焦り」の表れだったのか(C)時事

 

 安倍晋三首相は5月3日の改憲派集会「第19回公開憲法フォーラム」に寄せた自民党総裁としてのメッセージと読売新聞のインタビューで、新憲法を2020年に施行するという強い決意を示した。しかも、焦点となっていた憲法9条の改正にも手をつけるという。

 この意思表明は、安倍首相の「勝負手」(読売新聞)だと受け止められた。勝負手とは、囲碁や将棋で一か八かの運命をかけた一手のことである。勝負手は劣勢を覆して形勢逆転を狙う一手でもある半面、さらなるピンチを招く危険性もある。つまり、これは安倍首相が悲願の憲法改正実現、特に9条改正を実現させるためのものであるとともに、失敗の可能性もあるぎりぎりの手段でもある。安全策ではなく、博打を打たなければいけなかったところに、安倍首相の焦りが透けて見える。

「改憲派」内での意見対立

 安倍首相によるメッセージの約1週間前の4月25日、改憲派弁護士でつくる「憲法改正発議研究会」は国会内で意見交換会を開いた。その席上、参加した国会議員の意見の食い違いが露呈した。しかも、同じ自民党の改憲派議員の間での意見対立である。

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