このまま上院も通過してしまうのか(C)AFP=時事

 

 ワシントンに本部を置く、世界の人々の様々な問題意識に関する調査報告で知られるシンクタンク「ピュー研究所」の調査によると、歴代の米大統領選において、大学の学位を持たない白人の票は、トランプ大統領が1980年以降で最も多かったそうです。大学の学位を持たない白人の3分の2(67%)がトランプ氏を支持し、クリントン氏を支持したのはわずか28%でした。

 こうした多くのトランプ支持者たちは、トランプ大統領が選挙キャンペーン中に公約した「仕事(石炭産業や製造業)を取り戻す」ことに希望を抱いているのです。

 なぜなら、米国で製造業が成長した時代は、労働者階級は安定した高い賃金を稼ぎ、労働組合による健康保険と退職金を受け取っていました。その結果、家や車を買って、休暇をもつことができるようになりました。ところが、この状況が劇的に変化し、製造業は高コスト(高賃金)の米国から次々と低コスト(低賃金)の拠点を探し始め、主に中国やメキシコに移転していきました。結果、多くの米国人労働者階級は失業し、やりがいのない、低賃金の職につかざるをえなくなりました。そうした不満が鬱積していた白人の低学歴労働者たちは、トランプ氏こそ自分たちの不満を解消してくれると信じ、投票したわけです。

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