「人工衛星受託」から「無人月探査」「有人飛行」も:新ステージに入った「インド宇宙開発」
2017年6月14日
6月5日、インド・アンドラプラデシュ州南部スリハリコタ島のサティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げられた同国の最新鋭ロケット「GSLVマークⅢ」は、順調に飛行を続け、搭載した大型の通信衛星「GSAT-19」(約3.1トン)を予定通りの軌道に投入することに成功した。
このGSLVマークⅢは高さ43メートル、総重量640トンという3段・液体燃料式大型ロケット。高高度のGTO(いわゆる静止軌道)なら4トンまで、高度の低い低周回軌道(LEO)なら10トンまでの人工衛星を打ち上げることができる。搭載可能重量は、現行機種で最大のGSLVマークⅡに比べて1.6倍となる。
成功の決め手は、自国で開発を進めてきた極低温エンジン。過去のGSLVシリーズでしばしば打ち上げ失敗の原因となってきた燃料ポンプやロケット切り離し機構など、エンジニアリング面を徹底的に見直し、「新型ロケットの初飛行は失敗する」という長年のジンクスを打ち破ったのである。
急加速するインドの宇宙開発
インド宇宙研究機構(ISRO)はまず、比較的小型の衛星打ち上げなどに使うPSLVロケットの実用化に着手。このPSLVシリーズの打ち上げがほぼ安定的に成功するようになったことで、いよいよより大型のGSLVロケットへとシフトしていた。
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