5月15日、2016年度3月期の業績見通しについて発表する綱川智・東芝社長に、明るさは見られない (C)EPA=時事

 

 経営破綻の回避に向けギリギリの対応を続ける東芝。業績悪化の原因となった米原子力子会社「ウエスチングハウス」(WH)が米連邦破産法第11章(チャプター11)の適用を申請したことで、「海外原発事業のリスクは遮断した」(綱川智社長)と同社は主張している。日本では、現在新聞紙面を賑わしている「半導体メモリ事業の売却」が実現すれば「東芝の危機は去る」と見られているようだが、視点を米国に移すと全く違う景色が見えてくる。

「リスクは遮断」は本当か

 東芝は6月10日、最大の懸案である米原子力事業について、「米国原子力発電所建設プロジェクトに係る当社親会社保証に関する米国電力会社との合意について」という発表をした。

 ここで言う「米電力会社」とは、東芝の子会社だったWHが新型原子炉「AP1000」2基(ボーグル3号機、4号機)の建設を発注していた「サザン電力」を指す。

 東芝はこのプロジェクトでWH の債務に親会社保証を付けており、この契約に沿って「(東芝は)サザン電力に対し3680百万米ドル(4129億円)を2017年10月から2021年1月までの間に分割にて支払っていくことで合意した」という。

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