国際社会も「無力」のマドゥロ大統領「独裁」状態が続いている

 

 6月19日から21日までメキシコのカンクンで米州機構(OAS)の第47回年次総会が開かれた。初日の19日を、ベネズエラ危機を討議する外相特別会議に当てたが、深刻化するベネズエラの人権や人道上の問題に対し、国際社会はまたも無力さをさらけ出す結果となった。

 会議は事前に予想されたように、ベネズエラのマドゥロ政権の独裁化を非難し、危機の打開に向けて関与を果たそうとする米州の多数派の国々と、内政不干渉を盾に「人道的危機を口実にした介入」に反対するベネズエラとそれに同調する国々との対立構造が再現された。結果として、総会全体を通しても、民主的規範を逸脱する現体制に対する非難も、地域共同体としての危機への対応方針も確定できないまま閉会となった。ベネズエラ国内の事態の深刻化をよそに、まさに「会議は踊る」の状況が続いた。

IMFは2200%と予測

 マドゥロ政権は、統制経済の破綻と原油価格の下落による激しいインフレ(IMFは2017年2200%を予測)、生活や医療にも事欠く深刻な物不足を招き、完全に国民の支持を失っている。その中にあっても同政権は、チャベス亡きチャベス体制を死守するため、「21世紀の社会主義」を掲げ、武力をもって反対派の抗議を抑えるとともに、憲法制定議会の招集によって立法権限の掌握を回復する構えだ。対外的には、中南米域内の親ベネズエラ派の支持を頼りに政権批判を乗り越え、米州機構からの脱退によって国際干渉を避けることで、2019年までの政権の任期を超えた体制の生き残りを果たそうとしている。

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