GPIFは「モノ言う株主」になるべきか否か

執筆者:磯山友幸2017年7月26日
1年前は5兆円超の損失を発表していた高橋則広GPIF理事長だったが、今年は一転 (C)時事

 

 国民の年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2016年度の運用収益が、7兆9363億円と大幅な黒字になった。昨年の今頃は2015年度の運用収益が5兆3098億円もの赤字となったことで、安倍政権になってからのGPIFの株式シフトに対して批判が噴出。年金の先行きを不安視する声が挙がった。民進党は「年金損失『5兆円』追及チーム」を立ち上げるなど、年金が政権批判の1つの焦点になっていた。

 今年は3月末の日経平均株価が1万8909円と1年前の1万6758円から12.8%上昇したことが大きく、8兆円近い黒字。その後も日経平均株価が2万円を突破するなど堅調な株価が続いており、2017年度の第1四半期(4~6月期)も5兆円程度の黒字となった模様だ。「損失追及」の動きはすっかり影を潜めている。

20兆円の株式投資

 安倍政権前の債券運用中心のポートフォリオだった場合、これだけの運用益は稼げなかったのは明らかだ。前年度の結果だけをみれば、株式運用へのシフトは功を奏したことになる。

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