軍の出方次第で……(C)EPA=時事

 

 本サイト6月30日付の拙稿(「インフレ4ケタ」「死者80人」ベネズエラ危機の「見えない出口」)の続報である。

 延命の秘策としてマドゥロ政権は7月30日に制憲議会選挙を強行しようとしているが、それに対し、国際的枠組みによる支援を断たれた形の反政府勢力は、抗議行動を強めると同時に、独自の代替案を提示して政権の非正統性を世界に訴え、必死に事態の打開に向け動いている。二重政府の存立による内戦に近い状況が生まれつつあると言っても過言ではなく、ベネズエラ危機は大きな転換点に差し掛かった。

独自の「国民投票」の実施

 2015年12月の選挙で成立した議会の権限を無効にされかねない制憲議会選挙について、野党側民主統一会議(MUD)が支配する議会は7月5日、憲法に沿って民意を問う決断をし、16日に独自で「国民投票」を実施した。議会に選挙を実施する権限はなくそれ自体は違法であるが、国民投票を経ずに制憲議会選挙を実施することが憲法違反であることは明らかであり、議会は非公式ながらも自ら「国民投票」を実施することで、制憲議会選挙を強行しようとする政府の違法性を明らかにし、民意を盾に選挙を断念させようと試みたのである。

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