黙ってばかりでは何も分からないし信頼は生まれない(C)時事

 

 7月20日、日本銀行は金融政策決定会合で、政策目標である「物価上昇率2%」の達成時期を、従来の「2018年度頃」から「2019年度頃」に先送りした。会合後の記者会見では、「物価の見通しを何度も下方修正したり先送りすることによって、日銀の言うことが信用されなくなる、あるいは信用されなくなっているという認識を持っているのか」と、黒田東彦日銀総裁に対して厳しい質問が相次いだ。だが、黒田総裁は、「努力にもかかわらず、物価の見通しが外れ、2%に達する時期が先送りされていること自体は、見通しの誤りであることは事実です。ただ、欧米の中央銀行も含めて、あるいはIMF(国際通貨基金)やOECD(経済協力開発機構)も含めて、このところずっとそういう状況になっており」と、むしろ開き直りとも取れる回答に終始した。

任期中の目標達成は困難

 しかし、「物価上昇率2%」の達成時期を「2019年度頃」に先送りしたことは、黒田総裁の“敗北宣言”以外の何物でもない。

というのも、総裁の任期は2018年4月8日で、続投しない限り、総裁就任時に華々しく打ち上げた「物価上昇率2%」は未達成に終わることになる。それどころか、「次期総裁は物価上昇率2%の達成という政策目標そのものを取り下げる可能性すらある」(市場関係者)との声まで聞かれる。

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