20年に1度の伊勢神宮式年遷宮で2013年10月、臨時祭主として「遷御の儀」のために大玉串を手に正宮に向かう黒田清子さま

 

 日本を代表するふたつの聖地、伊勢神宮(三重県伊勢市)と出雲大社(島根県出雲市)に、皇族が深くかかわるようになった。高円宮家(たかまどのみやけ)の二女・典子(のりこ)女王殿下が出雲大社の千家(せんげ)家に嫁がれ、またつい最近、天皇陛下の長女・黒田清子(さやこ)さまが、伊勢神宮祭主に就任された。天皇家と太古の神話がつながっていくようで、喜ばしい限りだ。

 ただし、天皇家の歴史同様、伊勢神宮と出雲大社の正体は、よく分かっていない。出雲大社は敗者の鎮魂で説明がつくかもしれないが、太陽神・天照大神を伊勢で祀る理由が定かではない。『日本書紀』は、「神威が恐ろしかったので天皇のそばから引き離した」と説明している。これはいったいなんなのだろうか。

「聖地の位置関係」の謎

 出雲と伊勢の創祀に「国家の意志」が働いていたことは、科学が証明している。マイクロウェーブ、データ通信の技術士だった渋谷茂一は、各地の古墳や聖地の位置をコンピューターに入力した。その結果、多くの聖地や遺跡が大小のネットワークを構築していることを突きとめたのだ(『巨大古墳の聖定』六興出版)。

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