税率が下がった乗用車販売も好調(スズキのインド合弁マルチ・ウドヨグのマネサール工場)(C)AFP=時事

 

 州ごとにバラバラだった間接税の税率や納税手続きを1本化し、全国共通の消費税「物品・サービス税(GST)」を導入したインドの歴史的な税制改革が、7月1日の施行から1カ月を経過した。中小流通業者などには混乱が続いているものの、新規の納税登録社は120万社を超え、州境のチェックポストが廃止されたことで長距離トラックの平均走行距離は約30%も延びた。税率が下がった乗用車は、7月の国内販売が各社軒並み2ケタ増となる大きな追い風が吹いた。税収の増加や流通の効率化などで国内総生産(GDP)を1%前後押し上げると期待されるGST――。その効果がフルに発揮されるまでには半年~1年程度の時間がかかると見られているが、年度途中の7月導入という変則的な施行時期だった割に、インド国民や産業界は新制度に順応している。モディ首相が主導する経済改革、モディノミクスの柱とも言えるGSTは順調な滑り出し、と言っていいだろう。

消費財メーカーは大歓迎

 連邦制をとるインドではもともと州政府の権限が強く、農業や教育などは州の専管事項だ。州に代わって連邦政府が間接税を徴収し、各州に還付するというアイデアを巡っては、これまでに反対意見や修正要求が相次ぎ、今年7月1日の実施までには構想発表以来約12年近い時間を要した。旗振り役の与党インド人民党(BJP)ですら、野党時代は「各州に還付される税金の公平性に疑問がある」などとして、GST導入反対に回っていた。

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