米アップル社の人気携帯電話「iPhone(アイフォーン)」が国内ではソフトバンクモバイルから七月十一日に発売されることが決まった。アイフォーンをめぐっては、同じ第三世代携帯「W-CDMA」の通信規格を採用するNTTドコモとソフトバンクが国内販売権の争奪戦を展開。ドコモが有力と目されていた。しかし条件面でアップルとの隔たりは大きく、交渉は難航。「最近は(アップル側と)全くやりとりがない状態」(ドコモ関係者)だったという。 ドコモは顧客獲得競争でソフトバンクやKDDI(au)に水をあけられ続けており、アイフォーンは失地回復の絶好の武器と見られていた。ところが、孫正義社長のソフトバンクに逆転で契約をさらわれてしまった。六月二十日就任の山田隆持ドコモ新社長は出鼻を挫かれた形だ。 ドコモでアップル側との交渉役となっていたのが辻村清行取締役だ。新体制で副社長に昇格し、「固定電話系の経験が長く携帯に不案内な山田社長に代わって、実質的な指揮を執る人物」(関係者)とみられている。ところがアイフォーンでいきなり失点となった。ドコモはなお諦めず、国内二社目の販売権の獲得を目指す。 先の契約交渉では、アップルがドコモなどに対し携帯契約者の月々の通信料からの一部支払いを求めたことが障害となったが、最近アップルはこの要求を取り下げた。これで早期に合意を取り付けられるか、ドコモ新経営陣はいきなり岐路に立たされる。

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