握手の裏では激しい駆け引きが(C)AFP=時事

 

『東アジア戦略概観2013』(2013年3月公表)において、防衛研究所の兵頭慎治地域研究部長(当時室長)は、「中国砕氷船『雪龍』の北極海航行(2012年7~9月)にロシアが警戒を強めている」と分析している。

 2013年4月、日本の首相としては10年振りに安倍晋三首相がロシアを訪問した。安倍・プーチン会談では、「戦略的パートナーシップの構築」に合意、戦略環境の変化に対応するため、安全保障・防衛分野について「アジア太平洋地域の平和と安定に責任を有する」という日露共通の認識に基づき、「日露2プラス2外務防衛閣僚会議」の開催、相互協力を約束した。

 ロシアの日本への思惑は、中国船舶の北極海進出に対する牽制、即ち、日本海の緊要なチョークポイント(海峡)における日本のシー・コントロ-ルへの期待であろう。

 そして7カ月後に開催された「第1回日露2プラス2」(2013年11月)には、日露の安全保障上の関係を強める狙いがあった。ロシアから「アジア太平洋地域における安全保障の新しいアーキテクチャー」が説明されたが、その詳細、および「共同して中国を牽制する体制」に関わる方向性は明らかにされていない。また「戦略的パートナーシップの共有」は、価値観が「共有」と「対立」に分かれる「対中警戒」と「北方4島」2つの整理が必須である。

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