サプライズはなかった(C)時事

 

 東京都議選惨敗、内閣支持率急落で窮地に陥った安倍晋三首相は8月3日に内閣改造・党役員人事を断行し、第3次安倍・第3次改造内閣を発足させた。閣僚19人のうち11人を入閣経験者で固め、安定感を重視した布陣で、首相は3日夜、首相官邸での記者会見で、「結果本位の仕事人内閣」と名付け、経済最優先で政策を推進していく考えを強調した。

 内閣改造を受けた報道各社の世論調査では、とりあえず支持率は上昇し、不支持率は下がった。支持率下落は一応止まったと言える。しかし、今回の人事は、自民党の抱える不安要因を浮き彫りにした。首相とポスト安倍を狙う石破茂元幹事長の修復しがたい対立が明らかになったからだ。

石破氏「起用なし」の理由

 首相は人事に先立ち、森喜朗元首相から「嫌いな人や縁遠い人ほど取り込むべきだ」と助言されていた。首相も受け入れ、党内を固めるために、自らと距離のある人たちを入れた挙党態勢作りを図ろうとした。一昨年の党総裁選に出馬を目指し、首相に批判的だった野田聖子元総務会長を総務相に、首相の地元山口県下関市長選で対立した林芳正元防衛相を文部科学相に起用するなど、身内や側近ばかりの「お友達」内閣という批判を避けることに努力した。しかし首相は、昨年、首相の要請を断って閣外に出て以来、政権批判を続けている石破氏には入閣を要請しなかった。森氏の言う首相の「嫌いな人や縁遠い人」として、真っ先に上げられるのは石破氏のはずだが、起用は見送られた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。