南アフリカ「ズマ政権」凋落で浮上した「政権交代」の可能性
2017年8月16日
日本が世界に誇る自動車産業にとって、排ガス浄化触媒であるプラチナは不可欠な資源である。自動車用触媒としての用途はプラチナの総需要の約4割を占めている。
プラチナは賦存に地域的な偏りがあり、プラチナの7割強は南アフリカ1国で生産されている。自動車産業をリーディング・インダストリーとする日本は、そのプラチナを世界でもっとも輸入している国だ。南アからプラチナを安定的に確保することは日本経済にとって死活的に重要であり、そのためには南アの経済情勢の安定と、経済を安定させるための政治の安定が重要である。
だが、南ア政治は大きな変動期に入っており、少なくとも今後数年間にわたって安定した状況は望めそうもない。
大臣からも辞任要求
南アでは8月8日、議会(下院)でジェイコブ・ズマ大統領に対する不信任投票が実施された。ズマ氏は2009年5月の就任前から女性に対するレイプや、783件もの収賄や公金横領の容疑で捜査対象になっており、国家元首としての資質に最初から疑問符がついていた人物である。
大統領就任後には、ズマ氏が出身地の私邸改修工事に公金を使用したことが発覚した。だが、ズマ氏は当初、国からの返還命令を拒否し、野党から裁判を起こされて、ようやく一部を返還した。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。