8月5日、対北朝鮮制裁決議2371号を採択する国連安全保障理事会 (C)EPA=時事

 

 北朝鮮による7月4日(ニューヨーク時間では3日)と28日に行われたミサイル発射実験は大陸間弾道弾(ICBM)であると見られ、いよいよアメリカ本土に到達するミサイル技術を獲得し、脅威のレベルが一段高くなったことを受け、8月5日に国連安全保障理事会で新たな制裁決議である2371号が採択された。

 この決議に対しては中国やロシアも棄権せず賛成に回り、全会一致で採択された。北朝鮮に対して宥和的な態度を示し、より強い制裁には反対するとみられてきた中露が賛成したことは、トランプ米大統領とヘイリー国連大使の外交的努力の結果である。トランプ大統領も2度にわたり、15カ国が賛成して決議が採択されたことをツイートし、その外交的勝利を祝っている(1回目はメディアが報じていないという不満であり、2回目は国際社会が北朝鮮の脅威に気がついた、というややピント外れなツイートではあったが)。

 しかし、この決議は果たしてトランプ大統領が誇るような外交的勝利なのだろうか。アメリカのメディアも安保理決議2371号はトランプ大統領の外交的な勝利というカラーで染まったが(たとえば『ニューヨーク・タイムズ』の記事)、どうもそうした単純な話ではないような印象を持っている。少し解説してみたい。

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