7月28日、特別防衛監察の結果を発表、併せて自らの辞任を表明した稲田朋美防衛相(当時) (C)時事

 

 昨年から続く、南スーダンPKO(国連平和維持活動)部隊の日報問題。7月27日の特別防衛監察の結果を受け、稲田朋美防衛大臣と岡部俊哉陸上幕僚長が辞任、黒江哲郎事務次官は更迭と、人事面では大きな動きがあったが、8月10日には国会で閉会中審査が行われるなど、一向に火の手が収まる気配はない。

 ただ筆者から見ると、今の議論は、事の本質からずれているような気がしてならない。当初は、PKO部隊の日報に「戦闘」という表記があったのかどうか、それがPKO参加5原則に反しているかどうかが焦点だった。

 ところが、話は「戦闘」表記ではなく、「防衛大臣が陸上自衛隊にあった日報を隠蔽」したという、全く違った問題に変質し、政治問題化して今日まで続いている。

 そもそも今回の日報は、2月7日に統合幕僚監部から公表されている。にもかかわらず、なぜその後も「隠蔽」と言われ続けることになってしまったのか。それは日報を公表した統合幕僚監部が、自衛隊の実任務としての運用すべてについて大臣を直接サポートするスタッフ組織であることを、公表時に大臣が国民にわかりやすく説明できなかったことにつきる。

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