松本市の高等女学校に通っていた縁で松本市郊外につくられた記念室(筆者撮影、以下同)

 

 蓮舫・民進党前代表の二重国籍問題に絡んだ国籍の公開をめぐって、ひとしきりクローズアップされたのが「戸籍」だった。

 蓮舫氏は台湾籍を2016年9月に離脱したことを対外的に説明してきた。しかし、二重国籍状態の解消を証明するために戸籍を公開せよ、という批判があったものの、蓮舫氏はプライバシーの保護を理由に戸籍の公開を拒んできた。だが、都議選での民進党の大敗を受けて、党内からも公開を求める声があがる。そして、一部の人権団体からは、過去の身分差別が戸籍を調べることによって暴かれた歴史があるため、戸籍の公開に反対する意見があがったが、蓮舫氏は「最大野党である民進党のトップとしてより大きな説明責任がある」とし、7月18日、台湾籍からの離脱を表明する「国籍選択の宣言」が2016年10月7日付で記された戸籍謄本の一部を公開することに踏み切った。

戸籍は日本国民の証し

 一連の経緯で改めて「日本人と戸籍」という問題がクローズアップされることになったのは、注目に値する状況である。明治維新後に導入された日本の戸籍制度は、個人の情報と「家」を1つの単位として結びつける、世界でも独特のものだ(戦後改正された現在の制度では、「家」単位から「夫婦」単位に変更されている)。「戸籍の保持」はイコール「日本国民」の証しとされ、国民と国家の結びつきを証明するものとなった。

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