自分で自分の首を絞めているかのよう(C)AFP=時事

 

 8月22日にアリゾナ州を訪れたドナルド・トランプ大統領はメキシコとの国境に近いユマを訪れ、不法移民の取り締まり目的で利用されているヘリコプターや無人偵察機を視察した後、フェニックスに移動し、支持者を前に演説を行った。この中で、裁判所の命令を無視して不法移民に対する差別的な取り締まりを続け、法定侮辱罪で有罪判決を受けた不法移民排斥論者のアリゾナ州ジョー・アルパイオ元保安官に対して恩赦を与える方針を示唆した。そして実際、演説から3日後の25日、恩赦を実施した。

注目された「演説」

 フェニックスにおける演説は、ヴァージニア州シャーロッツビルで起こった白人至上主義勢力と反対勢力との衝突で、トランプ大統領に各方面から批判が強まった後で行う初めての機会であったために注目された。大統領は主要メディアとの関係は極めて悪く、記者会見の場においてはメディア批判という攻撃的態度を示すが、支持者を前にすると心地よいのか、演説ではメディア自体が米国社会の分断を促していると、自由奔放に訴える姿があった。

 トランプ大統領はメキシコ国境沿いに「壁」を建設する必要性を説き、16億ドルの建設予算を盛り込んだ2018会計年度予算案や、暫定予算案が2017年9月末までに米議会で可決されなかったりした場合、連邦政府機関の一部閉鎖も辞さないとの見解を明らかにしている。トランプ大統領のこうした発言に対して、先行き懸念からダウ平均は下落し、ドルも売られるかたちで市場はネガティブに反応している。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。