8月10日、2017年3月期決算の有価証券報告書を提出した後、会見に臨む綱川智・東芝社長(右) (C)時事

 

 東芝の半導体メモリ事業売却が最終局面で迷走している。8月下旬には、「(従来からの事業パートナーだった)米ウエスタン・デジタル(WD)を軸にした日米連合への売却で大筋合意」と報道されたが、結局、売却先を決められぬままタイムリミットの8月31日を越えた。メモリ事業の売却による債務超過の回避は危うくなった。仮にその関門を突破したとしても、東芝には第2第3の関門が待ち受ける。まだ報じられていないのは、原子力発電所事業に関連した「ウラン爆弾」だ。

「どうやって利益を稼ぐのか」

 現状を説明しよう。東芝は2006年、約6600億円で米原発大手の「ウエスチングハウス(WH)」を買収した。これが約1兆4000億円の損失を生み、現在同社は5530億円の債務超過に陥っている。通常、銀行は債務超過の会社に融資をしない。融資を引き揚げられては倒産してしまうから、東芝は「2018年3月末までにメモリ事業を売って2兆円を調達し、必ず債務超過を解消します」と言って銀行をつなぎとめている。

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