中国・北京のネットカフェでも「VPN」はさかんに利用されているという(C)EPA=時事

 

 1995年にリリースされたWindows95の衝撃を記憶されている方は多いだろう。インターネット接続機能を標準搭載したこのOSの出現によってインターネットが一気に普及し、IT革命なる言葉も流行するようになった。テレビでは連日のようにインターネット時代の到来が論じられ、インターネットは国境をなくすとか、社会の有り様を変革するといった論調が台頭した。

 これは多分に新技術へのユーフォリア(根拠のない過度の期待)のようなものであったが、インターネットが世界を大きく変えたことも確かであろう。筆者が専門とするロシアの安全保障は何かとわかりにくい世界ではあるが、インターネットの普及によってその実相を知る手がかりは格段に増えた。たとえば、かつてであればまず一般の目に触れることのなかった入札情報や兵士たちのSNS投稿は、ロシア国防省の公式発表からは見えない実態を浮かび上がらせることがままある。ロシア国防省が日々発信する公式情報やマスコミ情報も、インターネットの普及によって入手や整理が格段に容易になった。この意味では、インターネットが世界を透明化するという期待は、ある程度まで実現されたと言えるかもしれない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。