介護士受け入れを初手から潰す愚の構図

執筆者:出井康博2008年7月号

 五月二十二日、厚生労働省傘下の社団法人「国際厚生事業団(JICWELS)」が東京都内で開いたインドネシア人介護士・看護師の受け入れ説明会。気温三十度近い陽気のなか、介護士の部には定員の百八十人を大きく上回る約三百人の介護施設関係者が詰めかけた。看護師の部、さらには翌日、大阪に場所を移した説明会も同様の盛況で、受け入れに対する関心の高さがうかがえた。 しかし、JICWELSによる説明が進むにつれ期待は落胆へと変わっていく。冷房の効いていない会場では、汗をかきながら居眠りする姿が目立った。そして説明会が終わり、帰路についた参加者からは、憤怒に満ちた本音が次々と飛び出した。「施設にとっては受け入れ条件が余りに悪い。正直言って『やってられない』という思いです。説明会の最中、三人に一人は居眠りをしていたでしょう。あの光景がすべてを物語っている」 東京の説明会に参加した介護施設幹部の一人は、吐き捨てるように言う。「そもそも十九日にJICWELSのホームページで告知し、三日後に呼びつけるというのも傲慢でしょう。一事が万事で、受け入れまでのスケジュールも急ぎ足すぎる。すべて役所の都合なんでしょうが、これでは外国人を受け入れたくても無理ですよ」

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