訪米した宋永武韓国国防相(右)は8月30日、マティス米国防長官(左)に「戦術核再配備」を要請した、という (C)EPA=時事

 

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は今年5月に政権をスタートさせて以来、北朝鮮との対話を強調してきた。しかし、北朝鮮の8月29日の中距離弾道ミサイル「火星12」の発射、9月3日の6回目の核実験という軍事挑発を受け、対北朝鮮政策の基調を「対話」から「圧迫」に旋回しつつある。

「斬首作戦」の訓練

 米国は「火星12」発射を受けて、米韓合同演習の最後の日であった8月31日午後に、グアムを飛び立ったB1B爆撃機2機と、岩国基地を飛び立ったF35戦闘機を韓国上空に派遣し、江原道で計18発の爆撃投下訓練を行った。この際に韓国空軍のF15K戦闘機もともに飛行訓練を行った。

 韓国に、米軍のB1B爆撃機とF35戦闘機が同時に出動するのは初めてだ。さらに江原道で行った爆撃訓練は、精密誘導爆弾の投下で北朝鮮指導部を除去する「斬首作戦」の一環とみられている。

 さらに韓国軍は、北朝鮮が9月3日に核実験を行ったことを受けて翌4日に、豊渓里核実験場への攻撃を想定したミサイル発射訓練を日本海側で実施した。北朝鮮の核施設を攻撃目標にしたミサイル実射訓練は初めてで、豊渓里実験場までの約280キロを想定し、射距離300キロの弾道ミサイル「玄武2A」1発と、射距離278キロの空対地ミサイル「スラムER」1発が、日本海の目標ポイントに向け発射された。

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