売却条件がかみ合わず、民営化は難航中(「エア・インディア」HPより)

 

 インドを代表する国営企業でありながら、巨額の債務を抱えて経営不振にあえぐ「エア・インディア(AI)」の民営化プロセスがついに動き出した。同国格安航空(LCC)の雄「インディゴ」(運営会社は「インターグローブ・アビエーション」)やかつてのオーナーである「タタ・グループ」、そして米投資ファンドなどが買収や株式取得に強い関心を示しているが、巨額の債務はもちろん、有望な不動産などを売却対象から切り離したい政府の意向など、売却条件などを巡って、なお「交渉」は難航しそうな情勢だ。州議会選や正副大統領選の圧勝を背景に経済改革を加速させるモディ政権は、かねて懸案だった赤字国営企業の閉鎖・売却にも踏み込んでいる。今後の赤字国営企業対策のモデルケースとなるAIの民営化には、内外から注目が集まっている。

内外ビッグネームが名乗り

 2010年以降、燃料価格の高騰や高止まりした空港使用料に加え、不採算路線の整理で後手に回ったAIは赤字が恒常化、給与の遅配・欠配も相次いだ。2013年に20%近くあった国内線のシェアは現在13%前後に落ち込んでおり、度重なる政府の金融支援にもかかわらず、2017年3月時点での負債総額は約5200億ルピー(約8900億円)。2015年度に出した1日当たりの損失は、なんと1億ルピー(約1億7000万円)にも達した。一時は3万人近かった従業員を現在約2万7000人にまで圧縮したが、118機という保有機を考慮すると明らかに多くの余剰人員を抱えている。

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