わたしが暮らす「移民国家」の「現実」

執筆者:青木冨貴子2017年9月19日
台座に刻まれた言葉を、トランプ大統領は知っているだろうか(ニューヨーク市HPより)

 

「自由の女神」は今ごろ、どんな顔をして、何を思っているだろうか。たいまつを掲げ、世界各地からやってくるあらゆる移民を迎え入れてきた女神である。トランプ政権が移民の取り締まりを厳しくしていることに、さぞかし心を痛めていることだろう。米国生まれの子供から引き離され、強制送還される母親や父親の姿に涙しているにちがいない。

「疲れしもの、貧しきものをわれに与えよ/汝が身を寄せ合い、自由の空気を吸わんとねがうもの/住むに家なく、嵐にもまれしものを、われに送りたまえ/われは、黄金の扉のもとに灯をかかげん」

 女神像の台座に刻まれたエマ・ラザラスの言葉を、今思い起こすものがどれだけいるだろうか。

「ドリーマー」の危機

 ホワイトハウスに入って以来、イラン、リビアなど中東・アフリカのイスラム圏7カ国(のちに6カ国)から米国への入国を禁止する大統領令に署名したドナルド・トランプは、8月には、アリゾナ州マリコパ郡のジョー・アルパイオ被告に恩赦を与えた。不法移民に対する強引な取り調べが問題となっていた元保安官である。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。