飢えている人に魚を与えるか、それとも漁の仕方を教えるべきか――途上国援助を考える時によく使われる問いだが、WFP国連世界食糧計画・学校給食プログラム政策アドバイザーのフランシスコ・エスペホ氏は、「両方」と答える。 たしかに、学校給食があれば、貧しい家でも子供を労働させるより一食与えてくれる学校に行かせようと考える。そして、子供は学校に来れば、より良い未来につながる知識を身につける機会に恵まれる。加えて、給食の材料を地元で調達することが農業需要を生むため、「一石三鳥だ」とエスペホ氏は微笑む。 WFPによれば、飢えに苦しむ人は、世界の総人口の八人に一人にあたる八億五千万人以上。このうち八千万を超す人がWFPの食糧援助を受けており、その四分の一である二千万人が学校給食として食糧を得ている。だが、その学校給食プログラムが危機に瀕している。世界的な食糧価格の高騰でWFPの食糧調達コストがこの一年間で五五%も上昇したからだ。 地域によって内容は異なるが、WFPが提供する典型的な「給食」は、大きめのマグカップ一杯の「お粥」のようなもの。トウモロコシやコメ、小麦などに油や砂糖、塩を加えて茹でた七百キロカロリーほどの温かい食事で、一人あたりの一食のコストは二十五セント(約二十六円)。この中には、出席率八〇%以上の児童(学校に行かせてもらえないことの多い女子優先)に与えられる「お土産」(一カ月あたり約三キロの小麦やコメ)の費用も含まれる。

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