連載小説 Δ(デルタ)(23)

執筆者:杉山隆男2017年9月24日
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (C)時事

 

【前回までのあらすじ】

海の次は、空――。航空自衛隊が、大陸から「センカク」方面に向かう識別不明の2機をキャッチ。那覇空港から、2機のF15が緊急発進した。センカク上空の警戒監視を強化するには、自衛隊による那覇空港のフル活用必須なのだが、「官民共用」がネックになりそうだった。

 

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「うおつり」が乗っ取られ、空自が尖閣上空でのCAP、Combat Air Patrolと呼ばれる空中警戒を本格化させることにしたときから、204、304飛行隊のオペレーションルームや両飛行隊を統べる飛行群本部と、空港との間では、15の発進枠をめぐって激しいやりとりがつづけられていた。

「非常事態なんだから、何とか融通をきかせて15のフライトを優先させてほしい」と頼みこむ空自に対して、コントロールタワーで飛行機の発着順を決めている管制官や管制保安部の職員らは午前11時から14時までが那覇空港の発着のピークに当たっていることを指摘した上で、「それでもと言うのなら、自衛隊に優先利用を認めさせる法的根拠を示してほしい」と切り口上で迫ってきた。

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